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『黒い賭博師』(2011年11月) [掲示板再録]

>>>三一十四四二三 -- 11/11/27-23:17..No.[14174]
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廉価版DVD。
学生時代に深夜放送で見て、あまりの奇天烈ぶりに笑ったものだが、今回、奇麗な映像で見直してみると、お~!これはダニエル・クレイグ版「カジノ・ロワイヤル」の弱点を全てクリアした「ギャンブラー映画」になっているではないか!

「007カジノ・ロワイヤル」の欠点はクライマックスのトランプ勝負が、結局は運任せの、普通のギャンブルになっていることだ。
007の悪役は全ての面で悪役であって、正々堂々と勝負はしない。
確かにル・シッフルは毒をもってボンドを抹殺しようとはしたが、カードゲームではイカサマを使わない。

過去の007映画におけるギャンブル・シーンは、イカサマ対イカサマ、トリック対トリックのデタラメな勝負が正しい姿であったはずだ。
 まあ、「カジノ・ロワイヤル」の場合は原作に比較的忠実な映画化ということもあり、あえてル・シッフルにもボンドにもイカサマを封じてしまったわけだろうけれど、それはしかし映画の007のルールからすると間違っているのである。
(わしは、ル・シッフルの点鼻薬のケースに何か仕掛けがあるのでは?と思ったが、なんでもなかった)

 この「黒い賭博師」は、明らかに初期「007」の影響下に作られた作品であり、小林旭は動きもスタイルもボンド然としている。
それだけでなく、主人公の「賭博師」旭は、悪に対してはイカサマも使う手段を選ばぬ「ワル」であり、まさに初期ボンドの正邪入り乱れたキャラクターに準じているのである。

 映画は全編ギャンブル合戦。しかし正しい勝負は一度もなく、全てがトリックを使ったイカサマ勝負。
そのイカサマを見抜くことが勝敗を決めるという奇怪な世界観である。
 例えば、超高性能拡大鏡で、相手の瞳孔に写るカードを読む秘術。さらには賭場全体が隠しカメラでモニターされた要塞になっている・・・といった具合で、実に馬鹿馬鹿しいけれど、これは正しい007映画の継承と言える。
また旭と対決する「国際的ギャンブラー組織」のボスは、ナチスの軍資金をイカサマ博打で築いたユダヤ人!この感覚は007の悪玉そのものでしょう。
 
 「カジノ・ロワイヤル」のあやまちを写す鏡として、本作を広く007ファンに推薦する次第である。

画質は良いが、音は変なノイズが乗っていてとても聞き取りにくい。これ大きな欠点ね。




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