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真空管アンプの効能 [オーディオ&ビジュアル]

 真空管アンプっていうのは、基本的にトランジスターアンプよりはノイジーであるし、帯域も狭く、また機械としての寿命も短く、夏は暑く、消費電力も高い・・・とあまり良い点が見当たらない。
しかし「音が良い」という非常に根本的かつ曖昧な部分で再評価されて、今はこれを無碍に否定する意見は聞かれなくなった。
トランジスターアンプによって一時期完全に撤退した感があったけれど、奇跡の復活を果たしたわけだ。

 わしは、真空管アンプが「音がいい」なんていうのは、好事家の世迷言が過って広まった一種の都市伝説と思っていたが、実際にいくつかの機種を聞いて考えを改めた。
トランジスターアンプに比較して「音が良い」とは思わなかったが、特段「悪い」ともいいきれず、確かにノイズも乗るけれど、先に書いたいくつかの些細な欠点(意外に些細なことなんだよ)さえ気にしなければ、何の不自由もなく使用できることがわかったからだ。
また、なによりも、機械として美しい。音とは関係ないが、やはり真空管の灯火には、人類共通の郷愁に訴えかけてくるものがあるとしか思えない。

 そこで、わしは音質云々ではなく、その佇まいに惹かれて真空管アンプを使うようになったのだ。
耳より眼を優先させたわけで、これはオーディオという耳の趣味にとっては邪道かもしれないが、とにかく人間には目玉が付いていて、視覚というものがある以上、これを完全無視して万事決定することは不可能だ。
いや、実際、多くの人はそういうきっかけなんじゃないかな?

 しかし最近やっと真空管アンプのメリットがわかってきたのだ。
それは小音量時の音質の維持力である。
トランジスターアンプは、音を絞ると、同時にエネルギーや迫力も減衰していくが、真空管アンプの場合は、純粋に音量のみが小さくなり、エネルギーは維持されている・・・ように聞こえるのだ。

 物置シアターは簡易防音されているし、近隣に家が少ない環境ゆえに、夜間でも大音量を出すことは可能だが、心理的に、夜中の11時に爆音再生ができるかといえば、やはり難しい。
常識という眼に見えぬ規則に縛られている限り、夜が更けるほどにボリュームは絞りたくなる。
ひやひやしながら夜中に爆音を上げることは、逆に、精神の開放を求める音楽鑑賞の妨げになろう。
特に低音の響きは、地鳴りとなって簡易防音の壁を突破しているように思えて仕方が無い。
(昔は、よく、外に出て音が漏れてないか確認したものだが、何度確認しても、納得できないのだ。そんなことを繰り返すのは、馬鹿馬鹿しい。素直に常識に従ってボリュームを下げた方がずっと気楽なのだ)
まあ、暴走族的反社会的性根の持ち主ならば話は別だが、わしのように気の小さい小市民には、無理な相談だ。
 だから、夜更けには小さい音でやっぱり聞いてしまうが、この時に、真空管アンプは真の実力を発揮しているように思う。
まあ、理屈はしらないが、これが真空管アンプの音響特性上の最大の利点と、わしは考えているわけだ。
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